きっかけ
引き続き、イスラームの基礎知識を得ようと思い、購入しました。
著者は?
- 野町和嘉
- 1946年高知県生まれ。写真家。2009年、紫綬褒章受章。
- http://www.nomachi.com/index.html
どんな本?
(本書の袖より)
百万人の巡礼がカアバ神殿を廻るイスラーム世界の求心点メッカ、預言者の廟墓の地メディナ。ともにムスリム以外の入域を厳しく拒む。写真は自らムスリムとなって、2つの宗教都市の素顔を撮った。みずみずしい映像と撮影記録はまた、石油に支えられた原理主義王国サウディアラビアの、矛盾をはらむ実像をも活写する。
感想
- とにかく、貴重で美麗な壮大な写真の数々に圧倒されます。もちろん、カアバ神殿などはこれまで歴史の資料集や書籍のモノクロ写真などで何度も見てきました。しかし、新書見開き、カラーで目にすると、ほとんどまるで別物。著者の興奮がダイレクトに伝わる本文と相まって、まるで著者の隣で現場に立ち会っているかのような迫力です。私が特に感動したのは、ライトアップされて真っ白にそびえ立つ尖塔(ミナレット)と、モスクを埋め尽くす100万人の巡礼者の写真です。他にも胸をうつ写真ばかりで、それらを見ているだけでも感情が揺さぶられます。
- メッカとメディナが、ムスリム以外立ち入り厳禁であることさえ、私は知りませんでした。3ページにある「メッカとの分岐点に立つ、異教徒立入禁止の看板」の写真を見た私は、「厳禁」の二文字に異世界との境目を実感して息を呑みつつも、本書を通してこれからその異世界のどんな光景を眺められるのだろうと、好奇心で胸が高鳴りました。本でこんな気持ちになったのは、いったいいつ以来でしょうか。