本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

銀齢の果て

 

一時期、筒井康隆の虜となりかけた私は、新刊と古本とを問わず、筒井康隆の著作を買い漁っていました。しかし、買って読み始めてみると、なんか期待してたのと違う。うーんといまいち気が乗らないまま先へ進むも、結局途中で投げてしまう本が大半でした。特に長編小説との相性がいまいちでした。本書もその一つです。段ボール箱から発掘した私は、今度こそ最後まで読み切るぞと意気込みました。

感想

  • まず、シルバー・バトルロイヤルという発想が素敵。政府公認の殺しあい。これを若い人が書くと、年寄りをネタに邪魔者扱いしてる感が、波紋を呼ぶ可能性大です。同じく年寄りである人、しかもあの筒井康隆があのノリで書く、だから許されるという作品です。
  • 老人の大半は本質的に悪人。
  • 老人が次々殺されます。わかっていて読んでいるわけですが、一人ひとりの人となりが語られることもなく簡単に死んでいくので、命が軽いなぁと感じます。
  • そんな中で、貧しいが心の清い明原夫妻が握り寿司と純米酒を味わった後、「おれたち、生きていて、何もいいことなかったなあ」「ううん。いいこともあったわ。あんたが優しかったこと」と抱き合って泣く様子に心を打たれました。
  • しかし、その先はまた老人が老人を殺す場面ばかり。何が面白いのかわからなくなった私は、半分手前くらいまで頑張ったところでついに読むのをやめてしまいました。