本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

流浪の月

 

 

きっかけ

本屋大賞受賞作なら間違いはないだろうという期待と、映画版の広瀬すずのビジュアルに誘われ、中古の単行本を注文した。

感想

女の子の気持ちをよくここまで細かく丁寧に表現を変えて描けるものだとただただ感心した。おかげでどういう心境であったかは手にとるようにわかる。が、想像の余地がないとも言える。私はちょっとくどいなと感じた。

文(ふみ)をはっきりと小児性愛と書かないものだから、最後の最後にどんでん返しのような展開を期待した。少女に手を出さなかった、本当の理由とは…的な。そこは肩透かしだった。

少女の内面はこれでもかと丁寧に描く一方で、少女のお父さんはなぜいなくなってしまったのかがよくわからなかった。また、伯母さんの息子が夜中に部屋までやってきてわいせつ行為に及んだことも、最初の方でははっきりと描かれなかったので、ただ好意があってジロジロ見てくる程度だと解釈していた。だいたい更紗がこんな人生を送る羽目になったのはこいつのせいなのだから、こいつこそが苦しんで罪を償わなければならないのに、親に怒られただけで許されるのに腹が立った。本当の悪人は罪を咎められず、弱い人が泣き寝入りを強いられるのは、見ていて辛い。