2023-08-27 クスノキの番人 クスノキの番人 (実業之日本社文庫) 作者:東野 圭吾 実業之日本社 Amazon 東野圭吾作品にしては珍しく、殺人も、警察も、科学も登場しない。しかもハッピーエンド。中盤まではあまりに穏やかで平坦な展開なので、これはいったいなんの小説か、本当に東野圭吾が書いたのかと訝しんだほど。しかし物語の巧さと高い完成度は、紛れもなく東野圭吾だった。 面白くなったのは、玲斗と優美の盗聴が父親にバレてしまうところ。ここから物語がようやく転がりだす。千舟が認知症で、その顕れがいくつも仕込んであったことには、全く気づかなかった。久々に東野圭吾に「あっ」と一杯食わされて、嬉しい。