本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

クスノキの番人

 

東野圭吾作品にしては珍しく、殺人も、警察も、科学も登場しない。しかもハッピーエンド。中盤まではあまりに穏やかで平坦な展開なので、これはいったいなんの小説か、本当に東野圭吾が書いたのかと訝しんだほど。しかし物語の巧さと高い完成度は、紛れもなく東野圭吾だった。

面白くなったのは、玲斗と優美の盗聴が父親にバレてしまうところ。ここから物語がようやく転がりだす。千舟が認知症で、その顕れがいくつも仕込んであったことには、全く気づかなかった。久々に東野圭吾に「あっ」と一杯食わされて、嬉しい。