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歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

不正会計

 

不正会計―早期発見の視点と実務対応

不正会計―早期発見の視点と実務対応

 

 

どんな本?

不正会計は完全犯罪ではない、必ず不正会計は発覚する、との理解 を得るために書かれた本です。

著者は?

宇澤亜弓
1990年関西学院大学法学部卒業、同年公認会計士第二次試験合格。大手監査法人に勤務。1995年関西学院大学大学院商学研究科会計学専攻修了。警視庁、 証券取引等監視委員会での勤務を経て、公認会計士宇澤事務所を開設。日本不正検査士協会理事。

 

Good point

  • 実務に役立つこと間違いなしです。その理由は、理論に終始せず、 実践を前提としているためです。
  • 不正会計の手口や兆候把握について、膨大な解説があります。これが著者の本領なのでしょう。その質と量はまるで辞典のようで、 信頼感があります。私のように、経理や会計に疎い人間には大助かりです。

どんな人におすすめ?

監査人

私見・感想

  • 自らの「違和感」を信じて調査に取り組むことは、実際にはなかなか難しいことだ、と一旦は監査人の不安を受け止めた上で、妥協を許さずしつこく事実確認を行うよう背中を押している点に好感を持ちました。

メモ

  • コーポレートガバナンスを考える場合には、制度設計も大事であるが、それをどのように運用「させる」のかが最も大事となる。
  • 不正会計は内部統制およびコーポレートガバナンスの固有の限界から生じるものであり、内部統制及びコーポレートガバナンスは、究極的には不正会計に対して無力なのである。しかし、だからといって内部統制の整備・運用及びコーポレートガバナンスの構築は無意味かというと決してそうではない。
  • 会社、従業員、取引先を守るためにその「特効薬」としての不正会計の誘惑に負け、いけないとわかっていながら不正会計を行ってしまう。そのような不正会計は、単に一時的に「痛み」を忘れさせてくれるだけの「麻薬」であり、一度その麻薬に手を出してしまうと体がボロボロになりながらも止められなくなってしまうのである。
  • 違和感を持つかどうかは、その人の有する問題意識・経験・知識の違いから生じるものである。このうち最も重要なのは問題意識である。問題意識があれば、知識や経験の不足は、自ら調べる、またはよく知っている人に聞くなどによる対応が可能となる
  • 不正調査の最大の阻害要因は、思考停止である