本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

世界史

イスラーム史を中心に、広い意味で世界史のジャンルに属する本をゆっくりたっぷり読んできたこの数年。家族の寝静まった夜、その日の気分でアルコールを傾け、読みたい本を開く。それは心地よく、特別で、幸せなひとときである。一度や二度読んだだけでは記憶に残らぬ衰えた脳の足しになればと、ただ勢いよく斜め読みするだけでなく、ここが要点ではと目を付けた箇所を万年筆で一字一句丁寧に書き写す。この熱の入れようには自分でも驚いた。そんなこと受験勉強でしたことない。いや、する必要がなかったのか。受験生の頃、私は世界史の勉強を高校の授業と山川出版社の用語集に依拠していた。それだけで私の左脳はスポンジの水を吸うが如く固有名詞を記憶し続け……おっと、昔話は余計だ。

しかし今、私はそこまで読書に時間を割いているにもかかわらず、いざ国公立大学の入試問題を読んでみるとこれがどうだ。基礎基本レベルの固有名詞すらスッと出てこないし、歴史の流れの帰結もはなはだ怪しい。一方、受験専門家が示す模範解答は、確かに模範となる要件を備えている。自分にはこんな真っ当な解答、絶対無理…。私は頭を抱える。しかし、日本にはこれを5教科まんべんなく勉強し、周囲の頑張れ頑張れプレッシャーを正面からまともに受けながら、それでも成果を出し続け最終的に目標を達成する10代後半の若者が確かに存在する。本当に凄い。おれにないものを持っていらっしゃるのだなぁと素直に感心するし、尊敬する。

本を読めと人はいう。でも、読んだ端から内容を忘却していくおれの読書に、本当に意味があるのかなぁ。いや、読書に意味を持たせる必要なんてない、趣味の読書なのだから楽しければそれでいいじゃないか。いやしかし、読書がまったく人生の足しになっていないのなら、それはやはり無意味なのでは。いやいやいや、前にこんなツイートを見た。「どんどん読んで、片っ端から忘れてください。それでも残ったものがあなたの知識です。」別に受験するわけじゃなし、その程度の気楽さでいいのかな。