特に期待せず観始めたドラマが面白いと、いっそうそのドラマに興味や愛着が湧く。一昨年の『鎌倉殿』から1年空いて、今年は『光る君へ』沼にずぶずぶと浸かりつつある。
吉高由里子のビジュアルを全面に押し出した絵から、雅な平安貴族の生活をこれでもかと美しく色鮮やかに描写するのかなと思いきや、半沢直樹もかくやの権謀術数、陽キャ陰キャが入り交じるカオス女子会など、第一印象とは裏腹に本作は魑魅魍魎の跋扈する伏魔殿の様相である。
大河ドラマを視聴した晩の私の楽しみは、SNSでクラスター達の解説や感想を読むことである。
「今回は源氏物語の○○をモチーフにしていたのか」
「えっ、右大臣の病は演技ってこと!?」
「あぁここに三角関係が隠れているわけね…」
など、自分にない知識、観点でドラマを更に楽しむことができている。私はその片隅で耳を傾けひとりウンウンと頷いている、一介の市民である。まさに大河ドラマファンによるゆるやかなコミュニティだ。SNSはこういう居心地の良い空間であってほしい。