本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

歌われなかった海賊へ

 

今度は第二次世界大戦末期のドイツが舞台、主人公はソ連軍兵士たる少女ではなく少年少女の混合団である。

どうしてもデビュー作と比較してしまうのだが、本作は色々な点でいまいちとしか評しようのない、物足りない作品だった。

戦闘シーンの緊迫感はピカイチで、まさに手に汗。「そこだ!」と私が拳を握る瞬間に無敵のヴェルナーが殴ってくれるので、まるで自分が敵を倒したような快感がある。

だが、ストーリーにあっと驚くどんでん返しがない。21世紀に生きる私は、ノルマンディー上陸以降ドイツ軍が敗北を繰り返し、やがてヒトラーの自殺を経て連合軍に降伏することを知っているし、大量のユダヤ人が貨物列車で強制収容所へ輸送中されその後どうなったかも知っているので、史実通りならやがてこうなるだろうなと予想しながら読んていくわけだが、本作はその予想通りの展開なのである。あぁ予想通りなのねとマル付けをするだけで、あっと驚く大転回がなく物足りない。具体的に言えば、バカのフランツが実は天才で、知性で仲間を窮地から救うとか、連合軍の脱走兵がやっぱりスパイで極悪非道の行いを働くとか、そういうひとひねりが欲しい。

加えて、誰が誰に向かって喋っているのかわかりづらく、読み返しを余儀なくされる箇所がいくつかあった。

 

不調

昨年末から不調続きである。具体的には、咳→転倒→発熱→耳の腫れと続いてしまっているのだ。これが本厄年の威力か。あな恐ろしや。帯状疱疹かと思われる発疹まで頭部に出てきて、4年前に経験したあの苦痛とストレスをまた耐えねばならんのかと思うと、今から卒倒しそうだし、なんなら意識のないうちに発症して治ってくれたほうがいい。

2024/1/13 抗生物質のおかげか、耳は日を追って明らかに回復していった。まず、痛みがなくなった。腫れも次第に引いていき、もとの大きさに戻ったことを鏡で確認できた時には安堵した。よかった、治って。もっとも恐怖だった帯状疱疹も、頭皮の痛みがなくなったことから、心配ないのではと思っている。

ペルソナ5R

 

ティアキンでやることがほぼ終わったが、他にやるゲームもなく、手持ち無沙汰になった。そこで、年末年始セールで何か買おうかなと前から悩んではいた。ライザ、ピクミン二ノ国…。そんな中でふと、今までまったく未経験のペルソナというゲームが50%オフで、評価も高いことを知り、これも経験と購入してみた。f:id:bookrecords:20240107012013j:image

なんだかよくわからないまま、怪盗の姿でホテルから脱出、喫茶店の裏に居候、謎の城での移動や戦闘が続いた。ちょっと呆気にとられたが、この強引な展開によって少しこのゲームに引き込まれ、先が楽しみにもなった。

街や学校のBGMがゆったりしたものなので、RPGというよりはテキストアドベンチャーゲームを進めている感覚。戦闘して強くなって…というRPG的な要素はまだ少ない。戦闘が面白く爽快との評判なので、バシバシ敵を倒したてみたいが、序盤ではお預けである。

渋谷駅が私でもわかるレベルで「それっぽい」のに興奮した。渋谷は実名なのに、他は「銀坐線」「蒼山一丁目」「JL線」など微妙に名称をずらしていて楽しい。改札をICカードでPiと通過するのも新鮮な体験である。ペルソナシリーズは東京を舞台にしたゲームなのだろうか。

一方で秀尽高校は、私が通った昔ながらの県立高校とはまるで違い、かといって私の通った私立大学とも異なる雰囲気だ。東京の私立高校はこんな綺麗で充実しているのがデフォルトなの?(地方民の引け目)
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鴨志田という教師がどうやら悪者ポジションのようだ。陰湿な暴力で生徒を痛めつける、とんでもない野郎である。現実と彼の妄想の世界を行き来しながら、悪を成敗するのがこのゲームの本筋と理解した。
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坂本君のペルソナが覚醒した。彼はペラペラと喋ってばかりだったの賑やかし役だったが、これからは一緒に戦ってくれるようだ。仲間が欲しかったので、これは頼もしい。ただ、まだ戦闘システムはよくわかっていない。弱点を突いて総攻撃するのが爽快らしいので、早く体験したい。
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今どきのゲームらしく、できることがたっぷり詰め込まれている。しかし、私にはちょっと多すぎて、このままでは消化不良間違いなしだ。オート戦闘にできないかなと早くも投げ気味である。

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パレスと呼ばれるダンジョンを進んでいくのだが、ウロウロ徘徊している敵に後ろから近づくと先制攻撃をとれる仕組みなので、ザコ敵とのエンカウントにも緊張感があるし、強敵だと先制をとってももしかしたら負けるかも、とこれはこれで緊張感がある。コマンド式RPGに時間制限以外の緊張感をもたせる優れたしくみだ。

ただ、探索中のカメラ操作には難がある、というよりゼルダやマリオの快適なカメラ操作に慣れきっているので、他社のゲームだといつも違和感を覚えてしまうのだ。
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カモシダは気持ち悪い男として描かれている。カモシダをもっと憎たらしく腹の立つ感じに演出することは可能なのだろうが、やり過ぎると本当に不快極まるゲーム体験に仕上がってしまい、ジョイコンをへし折ってしまうので、制作者が自粛したのだろうなぁ、マイルドに調整したのだろうなぁと想像する。
f:id:bookrecords:20240128075236j:image 面白おかしい気持ち悪さではある。

カモシダを成敗すると、更にできること、行ける場所が増えた。竜司や杏と友達付き合いして関係値を高めつつ、猫と映画鑑賞したり繁華街のコンビニでバイトしたりコーヒーの淹れ方を教えてもらったりして自分自身の魅力を磨き、定期試験ではプレイヤーである私が知識レベルを試され、何かと忙しい。なんだかパワプロサクセスモードみたいだな。きっとキャラ強化のためのおすすめの行動があるのだろうが、そこは検索せず好きなようにやっている。


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ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

 

2024/1/2にイオンの未来屋書店で購入し、丸1日で読了。相変わらずの、そして流石の読みやすさである。私が真相を知りたくなり、細部を流し読みしてしまうのもいつものことである。

今作はこの20年東野圭吾が追求してきたホワイダニットではなく、フーダニットがメイン。元中学教師の父を殺害したのは誰か?娘とその叔父が追う話である。この叔父がマジシャンという設定で、一瞬で他人の持ち物をくすねたり、隠しカメラを仕込んだりする曲者なのだが、私はマジシャンというよりは豪胆な加賀刑事という印象を持った。人間の心理や身体反応を巧みに活用した会話術が、これまでの東野圭吾作品に登場した有能な警察に似ていると感じたからだ。文庫の帯には『謎解きのためなら手段を選ばず』と謳っている。私はマジシャンに扮した叔父が犯罪か犯罪スレスレのあくどいことをやって真相に迫ることを期待していたので、真っ当な手段にむしろ拍子抜けしたほどだ。《黒い魔術師》の呼称も誇張…というか、作中にそんな呼称が登場したっけ?

さて本作はコロナ禍を背景に物語が進む。緊急事態宣言、休業、外出自粛など、嫌になるほど目にした単語が、あの頃の萎縮した毎日を想起させる。が、舞台が2021年(と思われる)にしては変だなと違和感を覚える箇所があった。例えば、コロナがすでに収束に向かっているかのような状況描写である。が、その理由は本作を最後まで読み終えたところで判明した。本作の単行本は2020年11月に刊行されたのだ。執筆時点では2020年夏だから、コロナがこの先拡大するのか、いつ収束するのか、ワクチン開発はどうなるのか、全く先行き不透明で何をするにも不安が先行していたあの時期だ。f:id:bookrecords:20240103131546j:imageであれば、コロナ禍の初期に想像を交えながら小説を仕上げた東野圭吾はこれまた流石。コロナ禍が一年で収束することを願い、またそうなる前提で書いたのかもしれない。2020年夏の時点では、この先コロナウイルスが変異を繰り返して人類を悩ませ続け、私たちは永遠にこれと付き合っていかなければならないのでは、とすら悲観したことも思い出した。

マジシャンの叔父の小細工自体は読んでいて面白いので、今度は長編ではなく短編集で、ガンガン人を欺いて欲しい。

能登半島地震

「2024年こそは良い年に…」と言っていた矢先の大地震。元旦からこんな災害を起こさなくても良いじゃないか。どうして神様は残酷なのか。緊急地震速報スマホが震えた際、また石川の方で地震かと軽く受け止めた。震度6強ならまあまあ強いほうだけど、それほどではない、「揺れたね〜」と笑い過ごせる程度だと見くびっていた。NHK東日本大震災を背景に津波に対する備えをしきりに呼びかけていた。「津波が来ます!今すぐ逃げて!」「東日本大震災を思い出してください」との鬼気迫る叫びにこちらは涙すらこみ上げてくる。13年前の記憶はまだ生々しい。しかしどうやらこの地震津波よりも倒壊と火災による被害の方が大きいらしい。真っ赤な炎が空高く悪魔のように立ち上る映像には息を呑んだ。人的被害がなければよいがと願うが実際はどうなのか。もうすぐ大学入試の時期、受験生や関係者は気が気じゃないだろう。明日の箱根駅伝大学ラグビーは予定通り実施するのだろうか。これからインフラの復旧に兆単位の予算が必要になる。街は災害に強くなるが、地震がなければ他のことに使えたはずのお金。日本の地力がこうして絞り取られていく。地震が恨めしい。

2023 もっとも遊んだソフト


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まぁ、そりゃそうだわな、という結果。ティアキンは本当に面白い。今でもちょこちょこ地底を徘徊してはコンラン草を蒐集したりして楽しんでいる。
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私は時のオカリナ以降、主要なゼルダ作品は経験した。が、だいたい終盤の難易度と所要時間に参ってしまって、あと一歩のところのところで投げ出しているし、ましてや何度も反復してクリアした作品など思い返してみると一つとして存在せず、私にとってゼルダはいわば積みゲーの歴史でもある。そんな私だから、ティアキンでガノンドロフを2回征伐した経験は極めて貴重な財産なのである。
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よくブレワイとどちらが面白いかみたいな哲学的な話題になりがちだけれど、ブレワイは2017年時点で最高のオープンワールドゲームであるし、ティアキンはその続編として密度の濃い探索と何でもできる創意工夫の沼を実現した、どちらも傑作であり甲乙つけがたい…というかつけられないし、つけるべきでもないと私は思う。

発売から半年経過し、プレイ時間は300時間を超過していたが、未攻略の祠が残っていた。裸一貫でゴーレムを討伐するあれだ。それらを一つ一つ遊んでいて感じたのは、こんな攻略法があったのか!という驚き。YouTubeにゾナウギアを活用した面白動画が無数に存在するのは知っていた。ネタバレを回避したい気持ちと、どの動画も同じBGMなのに嫌悪感があって見ないまま来てしまったが、ちょっとくらい見て真似してみればよかったかなぁ。もっとも、今から動画を検索して覗いたところで、人知を超越した壮大で緻密なゾナウギアばかりで、もはや真似できないレベルである…。

発売から7ヶ月経過した現在でも、まだマップが90%そこそこ。コログや未踏の地がだいぶのこっているようだ。次回作の発売まであと5, 6年くらいはかかるだろうから、のんびりじっくり攻略本や動画を参照しながらまだまだ遊べそうである。

上位入賞しなかったのは、マリオワンダーである。プレイ時間は30時間くらいだろうか。決して面白くないわけではない。むしろ、「次は何が起きるのか?」「どう変化するのだろう?」と、これまでの2Dマリオにない新鮮で刺激的な驚きがたっぷり詰まっている、マリオ史上最高傑作と称賛されるべき一品である。ただ、2Dマリオは短時間でサクサク進められるのが魅力なので、プレイ時間が伸びないだけだ。
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