本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

歌われなかった海賊へ

 

今度は第二次世界大戦末期のドイツが舞台、主人公はソ連軍兵士たる少女ではなく少年少女の混合団である。

どうしてもデビュー作と比較してしまうのだが、本作は色々な点でいまいちとしか評しようのない、物足りない作品だった。

戦闘シーンの緊迫感はピカイチで、まさに手に汗。「そこだ!」と私が拳を握る瞬間に無敵のヴェルナーが殴ってくれるので、まるで自分が敵を倒したような快感がある。

だが、ストーリーにあっと驚くどんでん返しがない。21世紀に生きる私は、ノルマンディー上陸以降ドイツ軍が敗北を繰り返し、やがてヒトラーの自殺を経て連合軍に降伏することを知っているし、大量のユダヤ人が貨物列車で強制収容所へ輸送中されその後どうなったかも知っているので、史実通りならやがてこうなるだろうなと予想しながら読んていくわけだが、本作はその予想通りの展開なのである。あぁ予想通りなのねとマル付けをするだけで、あっと驚く大転回がなく物足りない。具体的に言えば、バカのフランツが実は天才で、知性で仲間を窮地から救うとか、連合軍の脱走兵がやっぱりスパイで極悪非道の行いを働くとか、そういうひとひねりが欲しい。

加えて、誰が誰に向かって喋っているのかわかりづらく、読み返しを余儀なくされる箇所がいくつかあった。