本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

西アジア 〈下〉地域からの世界史 8

 

オスマン帝国がなぜ滅亡したか?これは私が何年も前から抱き続ける素朴な疑問であるが、その答えには未だ到達していない。そこで、オスマン帝国の歴史を概観しできる書物を探していたのだが、ついに巡り会えた。そうそう、おれはこんな本を探していたのだよ!

私は本書と世界史学習サイト『世界史の窓』を用語集代わりに利用し、要点をレポートパッドに延々と書き写した。この年になると、もはや暗記は無理だ。それでもこうして書いて書いて書き溜めることで、脳に印象づけるしかない。
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おかげで、オスマン帝国が解体に向かう過程をおぼろげながら理解できたつもりである。多宗教・多民族を包摂し、共存共栄してきたオスマン帝国。それが英仏露の食い物にされてゆく過程は、歴史を知れば知るほど辛い。西洋の衝撃→上からの改革→反動→挫折。格下だったはずの西欧が、不平等条約を持ち出し、軍事介入し、領土を切り取ってゆくのは、さぞ悔しかったろう…。私はオスマン帝国に対し、同情すらこみ上げる。

同時に、ではどうすればオスマン帝国は延命し、西欧と伍することができたのか?との疑問も生じる。いったい何が、決定的な差異だったのか。そこで思い出すのが、西欧が中南米の銀を収奪し莫大な富を蓄積したことが、後の産業革命帝国主義を生んだとの説である。これは、どの本に書いてあったんだったか。ともかく、天然資源をいかに速く大量に獲得するかが、国の将来を左右する。これは概ね正しいだろう。しかし、獲得した資産をいかに活用するかもまた、将来を変えるとも思う。