イスラームの入門書に最適な一冊。前半はイスラーム政治史、後半はイスラーム思想史。今回は後半に興味があって読んだ。なお著者は残念なことに59歳で亡くなっている。
以下、なるほどと思ったことのメモ。
18世紀のイスラーム改革運動は内発的。
サラフィー主義運動とは預言者の時代を理想と考えウンマの再興を図る運動。
イスラーム主義とは、イスラームを政治的イデオロギーとして選択し社会改革を図るもので、急進的な組織や集団も含む。
イスラーム復興とは、日常におけるイスラーム的象徴の顕在化現象。
タクフィールとは、内なる敵を排除することは真のムスリムとして当然の義務であるとする考え方。
シンクレティズムとは、異なる複数の文化や宗教が接触して混交している状態や現象。
ハンチントン論文は、文明論ではなくアメリカの国策論的説明であり、未開人には民主主義などわかるはずがないという露骨なエスノセントリズムのあらわれである。
自分の属している文化は、他の文化との対比によってはじめて意識される。