本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

軍事力と現代外交[原書第4版]

 

ロシア・ウクライナ戦争の原因や終結策を理解するヒントを得たく読んだ。が、読めば読むほど、この戦争が本書の論旨に当てはまらない異質なものであると感じた。その理由は、プーチンが異質だからである。

第Ⅱ部の最後、P. 282にある一文がそれを説明している。曰く、

もし、個々の指導者が、危機管理と外交の本質を理解する知性を欠き、あるいは大きなストレスの下で活動し、自己抑制を行い、危機管理の実践的諸原則に固執してそれらを適用し、他者の視点から情勢をながめ、より大きな国際システム全体に対する何らかの道義的責任を感じる能力を欠いているならば、誘引と機会があったとしても、戦争を回避するのには十分でない。(中略)危機管理の成功には、「その存在または不在がはっきりわかるような、伝統的な政治家の資質――知性、外交的手腕、そして鋭い判断力――を必要とする」のである。

強大な軍事力を有する国家の政治指導者の資質が上記に当てはまらない場合に、その野望をどのようにして封じるか。古典的な問いが世界に突きつけられたことを再認識した。