本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

諜報国家ロシア

 

ロシアの防諜国家としての一面を掘り下げた、いわばロシアにとっての不都合な真実を解説しており、ともすれば陰謀論を面白おかしくかきたてるだけの三流本になりかねない。しかし、そうなっていないのは、著者自身のおそらくは反省に基づく冷静で端的な文章の賜物だ。何から何まで、嘘、プロパガンダ、誘導、正当化、攻撃、主張…etc. 著者の努力による圧倒的な事実の積み上げに、たたただ頭が下がる。

この読書体験を通じて、ロシアに対する警戒心が強まったことは言うまでもない。いっそ小説かなにかであってほしいと思うくらいだ。佐藤優についても、大学のOBであり昔の著書も面白かったので贔屓にしていたが、本書を読んで完全に訣別した。笑

おかげで『ロシアへ行ってみたい』という私の素朴な好奇心はすっかり消えた。本書を読む前、まだピュアな心が残っているうちに、ウラジオストクや旧スターリングラードへ行っておくべきだったなぁ…。