講演を書籍化したものだが、
文章が綺麗なですます調に整えられている。しかし、京言葉での軽妙な語り口が高坂先生の魅力であったとのこと。せっかくの魅力が台無しである。
書き言葉であれば、高坂先生は逆説や皮肉をまじえ、より味わい深い文章で人間の本質を表現する人だ。
結果として、本書は高坂先生の魅力を大きく損なっている印象を持った。
が、それでも片目をつむり、脳内で京都アクセントに直してゆっくり読んでいくと、あら不思議。次第に高坂節が本から立ち表れてきて、そうそうこれこれとニヤニヤしてしまうではないか。