本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

民主主義という不思議な仕組み

 

きっかけ

政治について書かれた易しい本から、政治の基礎の基礎を学びたいと思っていました。そこで、Amazonのほしいものリストにだいぶ前から登録だけはして、いずれ買って読もうというつもりでいました。しかし、今朝、引っ越しのときにダンボールに詰め込んだ新書を出してみたところ、本書があったのです。

「???」

買った記憶もなければ、読んだ記憶もありませんが、ともかく私は早速本書を再読?することにしました。

どんな本?

「はじめに」より

  • 本書の視点は、日本の民主主義について、その欠陥や「訳のわからなさ」を見据えながら、それを具体的に改善する方法を探ること。

感想

  • 同じ著者の『政治学の名著30』は文章が難解でとっつきにくかったため、本書も同じではないかと最初はかなり警戒していました。実際には、難しい言い回しも多少あり、相変わらず厄介ではあります。が、そういうところは読み飛ばしても差し支えないので、わかるところや興味のあるところをどんどん読み進めば良いでしょう。
  • イラストが珠玉。
  • 本書は、選挙権の対象年齢が18歳以上に引き下げられるのをきっかけに企画されたのかな、と想像しています。政治に参画するにあたっての入門書として、高校生あるいは大学1回生のときにこんな本があったらよかったなとうらやましく感じました。例えば、著者は各章で政治社会上の課題を挙げています。37歳になった私には、正直それほど新鮮味もありませんが、18, 9の頃の私には響いたかもしれないと思いました。いや、こういう本を読む「意識の高い」若者は心配無用、むしろこういう意識を持たないまま歳を重ねてしまった大人が読むべきですが、果たしてどうすれば伝わるのか?

メモ

  • 民主主義を継続的な努力によって「より良く」していくことが大切である。
  • 古代の民主主義のイメージはあまり芳しくない。その理由は2つ。ひとつは、「極端な民主政」が民主政の特徴として伝えられたために合理的な政策判断は期待できないように見えたため。もうひとつは、民主政を実現できるのは狭い都市国家においてのみで、大国に適した政治体制は王政や帝政とされ、民主政には出番そのものがなくなったため。
  • アメリカの政治の特徴は、代表制と権力分立制、すなわち大統領制である。
  • イギリス議会制は、議会と内閣が一体となったダイナミックで集権型の仕組みである。
  • 近代の民主政治は古代のそれと異なり、各人の自由と平等とを基礎に持ち、道義的な強さを同時に持っている点が圧倒的な強みである。
  • 政治においても、最悪の事態を避けることと最善の状態を実現することとをはっきりと分けて考える必要があり、まず「あってはならないこと」が起こらないように努力することが大切である。
  • 政治は感情によって動くように見えるが、最後は「頭脳」でする活動であることを決して忘れてはならない。
  • これからの日本にとって大切なことは、力の大きさに代わって21世紀の社会のモデルを創り勝負するという構想である。