どんな本?
著名な思想家の著作から一説を引用し、現代政治における課題と結び付けて解説しています。
どんな人向け?
- 政治についてちょっと考えてみたい人
- 政治について考えるきっかけが欲しい人
著者は?
1983年埼玉県生まれ。大和大学政治経済学部政治行政学科講師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。専攻は政治哲学。
Good point
- 圧倒的に読みやすい。政治哲学と聞いて敬遠してしまう人でも、この本であればすらすらと読めること請け合いです。
- 政治哲学や政治思想というと、日常生活とは縁のない、小難しい話と思ってしまいがちですが、時事ニュースや近現代の歴史と絡めて解説しているので、現代に通じる普遍性を実感できます。
私見・疑問等
- 個別の思想家の経歴や、有名な作品およびその背景にある史実の網羅的な解説はほとんどありません。それらが必要な読者は他の本を当たってください、というスタンスの本です。それを承知で購入したのですが、いざ読んでみると、やはり思想家や作品についての解説も欲しくなります。
- 推薦図書が節ごとに数冊ずつ紹介されているのは親切です。ただ、この本の読み易さとそれらとの間にギャップがありすぎるように思われるため、読者がいきなりジャンプアップして果たしてついていけるものなのかなと思いました。
- 解説の中で、自衛隊、靖国神社、天皇制などが登場しますが、著者個人の政治的価値観が強く表出しています。読者の価値観と合うかどうかで、この本の評価が大きく変わってしまいそうなので、中立的な書き方、あるいは両論併記にとどめるべきだったのではと思いました。