本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

EU政治論

 

きっかけ

学生時代にEU政治を学んだはしくれとして、この分野での新刊には常に注目しています。老舗・有斐閣から、その名もEU政治論という新刊が出ると知り、どんなものかと気になっていました。

どんな本?

EU政治の全体像を一冊で初学者にもわかりやすく解説。ヨーロッパ統合の歴史的展開を前史から振り返り、複雑なEUの政治諸制度、政策決定過程を丁寧に解説する。また、移民政策など主な政策の特徴、各国政治との関係、さらには現在まさに揺れ動くEUの正統性についての議論も紹介する。

著者は?

感想

  • 残念ながら、論文に徹した面白みのない文章、というのが第一印象です。本書の読者には、単位のためにEU政治関連の科目を履修したら、先生から教科書として指定されたので仕方なく買う、という受け身で消極的な人もいるはず。そのような人の好奇心を刺激し、EU政治の世界に惹き込む魅力的な本であってほしいのですが、そこまでの力はないと感じました。
  • また、一読して「ああ、なるほどね!」と疑問が解けるような明快さもありません。読者は、丁寧に読み込むことを強いられます。よく言えば落ち着いている、悪く言えば平坦。きっとこの先生の講義は眠たいだろうなぁ。
  • ここは読者の好みが分かれるところですが、私は物足りなさを感じました。
  • 客観性にこだわりすぎると、事実や考え方の羅列に終わる。かと言って主観が入りすぎると、胡散臭い。テキストこのバランスが