きっかけ
以前紹介した「国際政治学をつかむ」とは違った視点で書かれた入門書を読んでみたく、Amazonで探したところ、手ごろな価格(本体1円+送料350円)だったので購入しました。
どんな本?
「国際政治学をつかむ」と「国際政治学入門」の内容を目次ベースで比較してみます。
国際政治学をつかむ
- 国際政治学を学ぶ
- 主権国家の誕生
- ナショナリズムと帝国主義の時代
- 第一次世界大戦
- 第二次世界大戦
- 冷戦
- パワーと国益
- 対立と協調
- 支配と従属
- 規範と制度
- 安全保障
- 国際政治経済
- 国際政治における文化
- 政治体制
- 対外政策決定過程
- 外交交渉
- 国連の役割
- 地域主義
- 脱国家的主体
- 核
- 新しい戦争
- 人権と民主主義
- 国連PKO, 人道的介入, 平和構築
- グローバリゼーション
- 開発援助
- 地球環境問題
- さらに国際政治学を学ぶために
国際政治学入門
- 国際政治学とは何か
- 国際政治を見る眼
- 戦争と平和
- 新しい戦争・正しい戦争
- 平和維持と平和構築
- グローバル化と反グローバル化
- グローバル・イシューズとしての貧困問題
- グローバル・イシューズとしての地球環境
- グローバル・イシューズの解決に取り組むNGO
- 国境を超える難民・移民問題
- 国家を横断する民族
- 世界秩序構想
感想
目次ベースで比較して私が気付いたのは、本書が、国家を行動主体として捉える伝統的な国際政治学の見方とは一線を画そうとしているという点です。改めて冒頭の「国際政治学とは何か」を読んでみると、例えば以下の記述があります。
- 国際関係には主要なアプローチとして、理論研究、歴史研究、地域研究の三つがある。本書は、このうち理論研究に基づくものである。
- 本書においては、21世紀の新たな問題についての理論的考察を紹介する。
- 国際関係の様々な問題について、理論的に考える力を身につけてもらうことが、本書の目的である。
私は、ここで太字にした
- 21世紀の新たな問題についての理論的考察
が本書の最大の力点であると感じました。
実際、本文中で取り上げられている事例も、そのほとんどが1990年代以降の出来事です。かといって、時事評論に流れることなく、上記の通り理論的考察が加えられています。
私が学生時代に学んだのは、「国際政治学をつかむ」でいうところの前半部分(1~16)で、後半部分は卒業後の読書も含めてほとんど学んでいないことに気づかされました。今後はそういった分野にも関心を拡大し、読書を積み重ねていきます。
メモ
「戦争」とは
- 国家による
- 政治的目的をもった
- 戦闘による暴力のやり取り
しかし、近年の紛争には以下の特徴がある。
「正当な武力行使」とは
- 戦争の目的(動機や原因に正当性があるか)
- 戦争中の行為(どのような行為が許容されるのか)
- 武力行使の結果(人道的目的が達成されたか)
しかし、以下のような多様な考えが存在するため、何をもって「正当」とするかは困難である。
- 少なくとも当事者には正義が存在する
- 絶対的平和主義(いかなる場合にも武力介入すべきではない)
- 国益論(介入しても得られる利益はない)
- 道徳的議論(人権侵害や避難民の大量発生を無視してよいのか?)
- 人道的危機を止めるために武力行使は許されるのか?
- 介入する不正義
- 介入しない不正義
- 急迫不正の侵害もしくは明白かつ現実の危険の顕在化を待っていては遅いのでは?
民族問題
内戦リスク
- 優勢な民族がいる国家では、いない国家に比べて内戦リスクが50%高い。その理由は、マイノリティはいつまでたってもマイノリティのままなので、国内で影響力を行使できないままなのではないかとの恐れを抱きやすいため。
- 例)クロアチア人とセルビア人、シーア派アラブ人とスンナ派アラブ人・クルド人
解決策
- 裁判?
- 真実委員会?
- 国際社会による民主化支援?