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歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

9.11後の現代史

 

9.11後の現代史 (講談社現代新書)

9.11後の現代史 (講談社現代新書)

 

きっかけ

どんな本?

  • 今見ている世界と中東がこんなに怖いことになってしまったのは、そんなに昔からではないと伝えること
  • なぜ世界と中東がこんなことになってしまったのかを考える糸口を示すこと
  • 世界と中東がこんなことになってしまったのにはちゃんと理由があることを示すこと

メモ

  • 世界のテロ件数が急速に増加したのは、2004年頃からである。
  • 中東は世界の他の地域に比べて特段に紛争が多かったわけでも、テロが蔓延していたわけでもない。
  • 中東でテロや紛争が増加したのは、2003年のイラク戦争以降。
  • 世界がISに震撼した理由は、近代国家イラクを乗っ取るほどの組織化された軍事力と経営能力の高さにある。
  • ISがカリフ国家を宣言したことは、世界のイスラーム教徒に衝撃を与えた。ISがもつ狭隘な理想と抵抗の精神が、潜在的にある種の人々を強烈にひきつけてやまないものだったからである。
  • ジハード主義とは、武装闘争としてのジハードを行うことをイスラームの最も重要な義務の一つとして考え、異教徒や不信仰者に対して軍事的な攻撃を実行していこうとする考え方である。
  • ISは非イスラーム教徒だけでなく、シーア派をも抹殺すべき異端者として考えた。
  • かつてイラクでは、異なる宗派は共存するものであった。
  • ISが国際的に目を惹いた理由のひとつに、多くの外国人戦闘員が流入したことがある。注目すべきは、ヨーロッパからの流入の多さである。彼らは移民2世、3世で、西欧社会における差別、居場所のなさが存在する。イスラームが暴力化するのではなく、暴力性を抱えた個人や集団が、それを正当化するためにイスラームを利用し、暴力を発動する。
  • イラク戦争後、反米武装勢力は米兵やイラク駐在外国人を狙った攻撃を開始した。イラク駐留の米兵の死者数は、9.11の犠牲者の数を超えた。
  • 反米武装勢力は、イラク国内の宗派間の対立に火を点け、米軍撤退後も混乱が続くことを目論んだ。
  • イラクの復興が進まない理由は、腐敗と汚職が社会に定着してしまったからである。
  • イラクの政治家は、政権側と反政府側とを問わず、「犠牲者」という自己認識から脱却できていない。
  • 「宗派」を理由に対立したのは、イラク戦争以降、もっといえば2006-07年のイラクでの内戦状態の勃発からだ。
  • イラン革命が最初から「シーア派の革命」としてスンナ派から拒絶されたわけではない。
  • つまるところ、政治対立が先にあり、それが宗派を巡る対立に転化されるのである。
  • イランとサウディアラビアという二大域内大国間のライバル関係が、イラク戦争後中東地域の不安定要因として浮上している。