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中華一番!

 

中華一番!は、1995年に週刊少年マガジンで連載を開始した漫画です。

実は、中華一番!は私が初めて、そして今のところ唯一、漫画家にファンレターを送り、その後なんと直筆の返事をいただいた、思い出の漫画です。勢い余ってファンレターを送ってしまうほど、私は中華一番!が大好きだったのです。

当時中学生だった私も、今や37歳。随分と長い年月が経ったものです。先日私はふと、「おれは中華一番!のどこが好きだったのだろう?何が面白かったのだろう?」と疑問に思いました。そこで私は、25年前の自分の気持ちも思い出しながら、中華一番!を再読しこの漫画の魅力を改めて考えてみました。

魅力① 主人公が若い

週刊少年マガジンの漫画の主人公は、高校生が多い。そんな中で、主人公マオの13歳という設定は異例です。実際、他の漫画の主人公と比較すると、見た目はもちろんのこと、ふるまいも若干子どもじみたところがあります。が、それが連載開始当時中1(12歳)だった私に響いたのでは。小学生ほどガキっぽくなく、かといって高校生ほど大人ぶってもいない。そんな主人公に、私は強い親近感を覚えたのだろうと想像します。

魅力② 中華料理というテーマ

中華料理は日本人にとって身近です。改めて漫画に登場したメニューをたどると、麻婆豆腐、青椒肉絲、チンゲン菜の炒めもの、炒飯と、当時中1の私でも容易に想像のつく、家庭の食卓になじみのあるものばかり。加えて、調理方法や食材、味も多様性に富んでいて、今風に言えば絵面が「映える」。これが例えばフランス料理だったらどうだったろうと想像すると、私は作者および編集者が中華料理をテーマに選んだこと自体が最高の選択だったと思います。

魅力③ 真面目な料理バトル

もちろん漫画ですから、13歳の少年が料理長を任されるとか、特級厨師に合格するとかいった現実離れした設定は存在します。が、私がこの漫画に惚れたのは、マオが超能力やSFチックな技ではなく、記憶と工夫で料理を創り出すところです。もしマオが、例えば時間を操るとか、テレパシーで人の味覚を操作するみたいな不思議な技の使い手だったとしたら、それはまったく別の漫画になっていたし、私はそこまでこの漫画を好きにはならなかったと思うのです。加えて、マオは常に料理と真面目に向き合っていて、決して卑怯な手段を用いようとはしません。私は、マオがおのれの記憶と工夫によって難題をクリアしてみせるところが、中華一番!の肝だと思います。

 

ところで、この記事を書くために「小川悦司」でググったところ、作者の母校・慶應義塾大学が発行する書籍の記事がヒットしました。連載の裏側が垣間見れてとても面白い記事でした。それにしても先生、ナイスミドルですね・・・。

https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/crossroads/202005-1.html