本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

マスカレード・ナイト

 

久しぶりの東野圭吾である。大晦日の夜、盛大に開催される仮装パーティを前に、警察へ予告状が届くところから事件は始まる。なんだか、踊る大捜査線のようである。いや、踊る大捜査線が完全終了した今、マスカレードシリーズがその後釜役を果たしているのかもしれない。

さて、東野圭吾の筆力は相変わらずお見事。一度読み始めると先が気になって、スマホのことも忘れ、延々読み続けてしまうのだ。全体の4分の3、400ページくらいまで一気読みである。東野圭吾ファンをやって30年になるが、読み手を惹き付けるこのパワーは流石としか言いようがない。

ちなみに、嘘をついているのは誰だ?この二人は実は親子ではないか?などと妄想したが、それらはもちろん全て外れた。推理ものは好きだが、推理は苦手である。

しかし、終盤の一番盛り上がるところで尻切れトンボになるのもまた、近年の東野圭吾作品の共通点である。「あっ」と本当に声が出てしまうような驚きが弱いと感じるのだ。のもっともそれは、私が年齢を重ねて感受性が弱まったせいなのかもしれない。

最終盤は偽名のオンパレードで、特に女性客は、誰が誰だかという状態だった。話の設定上、年齢の近い女性客が多いから混乱するのだと思う。このあたりは書き分けや描写で解決するのだと思うが、終盤はそれが雑だった。