本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

新疆ウイグル自治区

 

新疆ウイグル自治区における国家的な弾圧・迫害の存在を知って以来、ずっと読みたかった本。私の中に危機感の残る2022年のうちに着手できてよかった。

西域の歴史、トルコ系民族の流入の歴史から辿る安心感。そうそう、あぁそうだった。しかし、中華人民共和国成立以後の新疆の歴史は、私には細かすぎた。章の頭で、ざっくりまとめるとこういうことだと示してくれるとよかった。むろん、私に基礎知識があれば、詳細で丁寧な記述はむしろ高評価につながるところである。もう少し読書を重ねてから、この箇所を読み返すことにしよう。

終章では、新疆政策がジェノサイドかを考察している。著者は中国を断罪することを避けた。新疆政策の目的が民族の抹殺・破壊(≒ジェノサイド)ではなく改造であり、二等市民としてではあるが生きる余地がある点を考慮したようである。

しかし、論理的にジェノサイドには該当しないからといって、ウイグル族を「生かさず殺さず」締め上げる政策が21世紀に許容されるものではない。その点で私はモヤモヤした読後感を抱いている。