本・ゲ・旅

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戦後日本外交 軌跡と課題

 

これは思いがけず良かった。

2015年に亡くなった著者の栗山氏は、1954年に外務省へ入り、安保改定、沖縄返還湾岸戦争などに携わってきたまさに戦後日本外交の中心人物の一人である。

本書が良いのは、単に軌跡を追うだけでなく、その課題に対して冷静な議論を提供してくれる点である。特に憲法九条については憲法学の観点の議論を「神学論争」と一蹴しているのが痛快だ。自衛隊を軍隊と認めることが第一歩との意見は、至極真っ当であると私は感じた。が、2024年になっても自衛隊を取り巻く議論が前進していないようで私は残念である。