本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

世界の歴史5 西域とイスラム

 

きっかけ

いつぞやの投稿で、高校レベルの世界史はほぼ理解していたなどと豪語していた私。しかし、つい数日前、本書のタイトルにある「西域」という文字列を目にしたとき、私はそれがどこからどこまでの地域を指すのか、また世界史に出てきた王朝や人物のうちどれが西域に含まれるのか、がピンときませんでした。

「これは、自分の知識不足を補ってくれる本だ!』

私はドキドキしながら本書を読み始めました。

感想

  • 冒頭に登場する、スウェーデン人探検家スヴェン・ヘディンの冒険譚がめちゃくちゃ面白かったです。砂漠に迷い、仲間を次々に失いながらもめげずに歩き続け、ついに巨大遺跡を発見する流れは、私にとってはまさにゼルダの伝説ブレスオブザワイルドそのもの。場面が映像でありありと浮かんでくるようで、私は西域にものすごく親しみを感じてしまいました。
  • この本にはもう一つの冒険譚があります。玄奘が唐からはるばるインドまで経典を求めて困難な旅に出るあれです。これがまためちゃくちゃ面白い。21世紀の現在、車や鉄道で行けと言われても嫌なのに、徒歩で山を越え砂漠を越えて帰ってきたという、その想像を絶する苦しみと偉業ぶりが、読者に「玄奘まじかっけえ」とリスペクトの念を抱かせます。
  • 西域における世界史上もっとも巨大な存在は、13世紀のモンゴル民族、わけてもチンギス・ハーンでしょう。彼が殺戮の限りを尽くしたことは、知っていました。が、改めて説明されると、絶句しかけます。何しろ、130万人とか、160万人とかいう規模ですから、他の戦いの死者数とは桁が2つくらい違います。片っ端から皆殺し、殲滅、破壊。世界史上最悪の暴力集団です。久々に本を読んでゾッとしました。