きっかけ
確か、私が大学1回生の時に、大学生協の書籍部で購入したはじめての本の一つです。それまで、新書はもちろん、本自体もほとんど読まなかった私。しかし、大学生となったからには、何かしら本を読まなければ。そんな意気込みで、ちょっと背伸びして選んだ記憶があります。
あれから19年。この本を今の今までとっていたのは、単に思い出の為ではなく、中身に何かしらの価値があると私が考えていたからでしょう。よし、暇つぶしに自分で自分の答え合わせをしてみよう、そう思って再読しました。
著者は?
どんな本?
著者は、20世紀の歴史を「帝国から帝国へ」と捉えます。すなわち、
- 20世紀のはじめ、世界にはまだいくつかの帝国が存在していた。
- その後、民族自決の原則に基づき、多くの国民国家が誕生した。
- しかし、20世紀末には帝国が復活の兆候を示している。
- 具体的には、アメリカ、ロシア、ドイツ、中国である。
という分析です。
2020年現在、この分析は概ね当たっているように私は思いました。ただ、911やイギリスのEU離脱のような事象は予想外だったろうなぁ。また、日本の国力が相対的にここまで落ちるとも思ってなかっただろうなぁ…。
感想
- 歴史上の出来事をまくしたてられ、私が一つ一つを消化吸収する前に次へ進んでしまうので、胃に食べ物が溜まるようなもやもやした読後感が残ります。
- 評論文あるいは読み物としての面白みも、いまひとつです。いくつかの雑誌に掲載された評論をまとめた本のようですが、文章として整理された感はなく、講義録をそのまま文字化しただけのような、中途半端さがありました。「帝国」という言葉が繰り返されるのにも、ちょっとウンザリ。ただ、それは私個人が「帝国」という言葉に抵抗感を持っているせいかも?
- 「中身に何かしらの価値がある」と期待して本書を読み返しましたが、残念ながらそこまでのものは見出せませんでした。裏を返せば、過去の私は一応この本の内容を知識化できていたということでしょうか。
- ところで、世界は新型コロナウイルスにより、経済の異常事態の真っ只中にあります。2020/4/26時点で、まだ解決の兆しが見えません。この苦闘は、これからの世界史年表に間違いなく記載されるでしょう。私たちがこれを乗り越えたとき、教科書はこの事象をどう記述するのか?そして、世界の勢力図はどう変わるのか?私にはそこまでを見通す知見がありませんので、せめて関心を持ち続けてみることにします。