本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

バルカンの民族主義

 

バルカンの民族主義 (世界史リブレット)

バルカンの民族主義 (世界史リブレット)

  • 作者:柴 宜弘
  • 発売日: 1996/04/01
  • メディア: 単行本
 

きっかけ

ここ最近の読書によって、オスマン帝国バルカン半島も支配領域に収めていたことを知りました。バルカン半島といえば、20世紀に「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたり、1990年代にはユーゴスラヴィア紛争で大変なことになりました。しかし、内情があまりにも複雑なため、「大変なことになった」という薄っぺらな言葉でしか私は表現することができません。そこで、オスマン帝国末期から1990年代までのバルカンの歴史を説明できるようになりたいと思い、薄い本だからなんとかついていけるのではないかとの淡い期待をもって本書を購入しました。

著者は?

どんな本?

  • 「民族の悲劇」はなぜ、バルカンで生じるのであろうか。凄惨なボスニア内戦を見るにつけ、だれしもが感じた疑問であろう。バルカンは「ヨーロッパの火薬庫」と称さて以来、「紛争地域」「危険地域」とのイメージがつきまっている。バルカンの民族主義近現代史のなかで検討し、この地域の諸民族の対立の背景を探ると同時に、諸民族が協力しようと模索した側面にも光を当てて、民族主義からの脱却の展望を考える。

感想

メモ

  • バルカンの総面積は75万㎢で、日本の面積の約2倍。
  • バルカンという呼び名は、山脈を意味するトルコ語に由来している。
  • バルカンは極めて多様でありながら、地域としてのまとまりを強く備えている。
  • バルカン地域は等しく中世においてビザンツ世界に組み込まれ、その影響を強く受けた。また、近代においては、オスマン帝国支配下におかれていたという共通体験をもつ地域である。
  • 18世紀にはいると、アーヤーンと呼ばれる地方の名士が徴税請負権を独占した。
  • 19世紀初頭に展開されたセルビア蜂起は、弛緩したオスマン統治のなかで生まれ、中央の統制のきかない「悪いトルコ人」に対して、旧来の秩序の回復をスルタンに求める動機から生じた。反乱の過程で、これがオスマン帝国にたいする民族的な反乱に転化したのである。