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J1 2020シーズン終了


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【DAZNハイライト】名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島(H) 2020明治安田生命J1リーグ 第34節 - YouTube

 

1. 今季はもう無理かも

2月25日、第1節の直後から試合が中止になりました。その後もコロナ禍がどんどん悪化して、3月下旬には東京五輪すら延期になったことに、私は愕然としました。世の中、もはやスポーツどころじゃなくなってしまったことを悟ったからです。

4月16日には、全国を対象とした緊急事態宣言の発出に至りました。この間、外出や移動の自粛が要請され、できるだけ人に会わないことが求められる世になってしまいました。日本という自由主義社会において、国が経済活動や人の行動を実質的に制限する日が来るなんて、私は信じられませんでした。

今季はもうサッカーを観られないかもしれない。

2011年の東日本大震災の直後も、同じことを考え、悲観しました。あのときも、被害の大きさや電力不足から、サッカーは当分無理だと本気で打ちひしがれたものです。

 

2. 無観客の静けさ

しかし、7月4日、数々の困難や不安を抱えながらも待望のJ1再開となりました。サッカーのある生活が帰ってきたのです。「今年こそは無理かもしれん」「34節やり切るのはさすがに無理だろ」と覚悟していただけに、私の喜びもひとしお。Jリーグ関係者の尽力に、ただただ感謝の気持ちでした。

しかしながら、当面は観客ゼロでの試合。

無観客試合は、むかし埼スタの浦和対清水?で実際にあったのを覚えています。声援がまったくなく、選手の声と、ボンッ、ドンッとボールを蹴る音だけがこだまする、とても奇妙で異常な雰囲気があまりに強烈だったためです。

あれが再び、しかも今度は特定のクラブに対する懲罰ではなく、全クラブ対象に適用されました。感染リスクを考えれば、しょうがない。もしスタジアムでクラスターが発生しようものなら…。SNS世論が異常に発達した現代日本のことですから、クラブや選手に対する過酷なバッシングのみならず、サッカー自体にも「怖い」「危ない」といった悪評がまとわりつくことになりかねません。

とはいえ、あの奇妙で異常なサッカー観戦は嫌だなというのが再開時の私の気持ちでした。

しかし。

自分の応援するクラブの無観客試合は、意外に興味深く楽しいものでした。とりわけ選手の声、とくにランゲラックが大きな声で"No foul!" ”Up! Up!"と一番うしろから指示するのが強く印象に残りました。普段は大音量のチャントで聞こえなかったけれど、選手たちはこんなに大きな声で指示を出し合っているのか、と驚きました。

以後、私は主にランゲラックの大声を聞くためにヘッドホンを使用し、ついには完全ワイヤレスイヤホンを購入するに至ります。

チャントや声援のないスタジアムは寂しいので、来年はにぎやかなスタジアムに戻ることを願っています。もう無観客試合なんて観たくないです。しかしながら、選手の大声を聞けたのはサッカーファンとして非常に良い体験になりました。


3. GLAP

9月7日以降の試合から、手拍子が認められました。直後、9月9日(水)開催の第15節横浜Fマリノス戦。2-1 で迎えたアディショナルタイムのこと。パロマ瑞穂スタジアムに、GLAPが響いたのです。

 

これには感動しました。チャントを歌えなくても、声援を送れなくても、GLAPなら選手にサポーターの気持ちを届けられる。そうか、その手があったかと膝を打つ思いでした。

GLAPのリズムは独特です。初めての人は絶対についていけません。私がDAZNを通じて聞いたGLAPは、手拍子がきれいに揃っていました。つまり、現地でGLAPに参加した人のほとんどは、GLAPを習得したベテランのサポーターだったということです。コロナ禍の平日夜、観客数が5000人以下に制限された試合ですから、そういう人が多かったのでしょう。私は現地にいた人たちを羨ましく思いつつ、ありがとうと感謝の念を送りました。


4. 驚異の守備力

それにしても、今年の守備は固かった。

米本、稲垣が相手の攻撃をことごとく邪魔し、丸山と中谷が冷静にボールを奪い返す。そんな場面を何十回、何百回と観ました。

過去にも、名古屋が守備の固さを誇った時期がありました。ピクシー政権下、CBに闘莉王と増川、ボランチダニルソン中村直志がいた頃です。

しかしながら、守備の形は大きく違います。

ピクシー政権下では、相手FWに肉弾戦を挑み、身体の大きさや強さを活用してボールを跳ね返す、格闘系の守備で相手を圧倒しました。

一方、マッシモ政権下の守備は、相手をフリーにさせないためにどうするか、どうやったらボールを下げさせられるかと、頭脳戦で優位に立つ守備をしています。

前者はどれだけシュートを打たれようが、ゴール前で跳ね返すのに対し、後者はそもそも攻撃をさせない守備。どちらが観ていて安心かは、言うまでもありません。

そうそう、前述の"No foul!"と関係しますが、今年は無駄なファウルが激減した印象です。ペナルティエリアの中および付近でファウルしないことをチームとして徹底したのでしょう。代わりに、しつこくボールを奪いに行き、跳ね返し、あるいはタッチラインに出す。おおぉ助かったと安堵する時、そこにはつねに稲垣がいました。彼こそは今季の名古屋の核であり、MVPであったと私は思います。


5. 勝ち点63

開幕前、マッシモがこれほどの成果を挙げると真剣に予想できた人はいたのでしょうか。

勝ち点63といえば、例年なら優勝争いに食い込むレベル。名古屋としては、2011年、ピクシー政権下で史上最強とメンバーを揃えたシーズンに勝ち点72を稼いだ時以来の60超えです。

順位表を見るたびに、おお、我が軍はこんなところにいるのかと驚き、テンションが上がりました。

今季は川崎が強すぎてアレでしたが。


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