本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

【メモ】日本のいちばん長い日


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今年もこれを観る日が来ました。これまでに3, 4回くらいは観ていますが、毎回違う感想や印象を持ちます。名作と評される小説は、読むたびに感想が変わるそうですが、この映画もその類ということでしょうか。ちなみに初めて観たときは、畑中少佐の狂気が強烈でした。さて今回の感想は。

感想

  • 責任回避。玉音盤の保管場所について、日本放送協会宮内省とで押し付け合うような場面がある。確かに玉音盤という物の性質からすると、自分たちが管理するなど畏れ多い、また何事かがあってはまずいという心理から、気は進まないだろう。では、これがもしアメリカだったら?アメリカ人同士が、果たしてレコードの保管場所のことでもめるだろうか。
  • 決断の先送り。大臣は物事を決断し政治を動かすことが仕事である。しかし、閣議で大臣が集まっていながら、ポツダム宣言受諾を決められない。自分たちでは決められないから、代わりに天皇という権威を持ち出してくる。問題は、そうしている間に日本の被害が拡大したことだ。そうしている間に長崎に原爆が落ち、ソ連満州に進行し、太平洋や中国での戦闘が続いたのだから。

無論、こうして現在から過去を批判的に観察し、ケチをつけることはたやすいことです。では、自分自身はどうなのか。サラリーマンとしての自分は責任回避や決断の先送りに逃れていないか。答えはもちろん、「できていません」。

主担当は自分ではなく○○さんだから・・・

とりあえず明日もう一度考えることにしよう・・・

そんなことばかり積み重ねています。向き合う課題の重さは別物ではありますが、自分も当時の政治家と同じ穴の狢と言わざるを得ません。

ところで、今作の中核を占める陸軍ですが、私はこの巨大な組織や位階に関する基礎知識が全く欠落しています。参謀本部、軍令部、東部軍、近衛師団、膨大な数の課、陸軍大臣、陸軍次官、参謀総長、○○部長、大佐、大尉・・・もうワケガワカラナイヨ。

私の理解は、「わけがわからなくなるほど、陸軍という組織が巨大だったのだ」という程度に留まっていますが、それでも以前観たときよりは多少区別がつくようになったつもりです。