本・ゲ・旅

歴史や政治を中心に本の要約を紹介します。たまにゲームレビューも。

ウクライナ戦争と世界のゆくえ

 

私が本書を選んだのは、まともな論文をまとめて読みたいと思ったからです。正直、ツイッターにあふれる自己主張の強い言説にはウンザリなのです…。結論から言うと、期待通りまともな論文揃いで、大変満足しました。

私がはっとしたのは、世界は決して反ロシアで一枚岩ではないということ。中国、中央アジア、中東諸国などに、あえて中立の態度をとる国があるとの指摘でした。言われてみれば、当たり前のことです。ロシアと軍事的、経済的に結びつきの強い国だって当然あるわけで、すべての国がロシアを非難しているはずがありません。私の思考が「西側」=反ロシアの感覚に浸りきっていて、それ以外の国の視点を持てなくなっていたことに気づきました。

もう一つ心が揺れたのは、世界の秩序を守るのはアメリカだけではないとの指摘です。米軍に「守ってもらう」のが当然と思っていた私の当事者意識の薄さをじかくしました。

ところで私がふと疑問に思ったことは、「ウクライナ戦争」は適切な呼称なのか。というのは、この戦闘は宣戦布告によらないから、戦争ではないというような主張をSNSで見たことがあるような気がするからです。

Wikipediaによると、政府や国際機関は以下のように「戦争(War)」との表記を用いていないようです。

日本の総理官邸と国会はロシアによるウクライナ侵略と表記している。ロシア政府は特別軍事作戦(специальная военная операция)以外の呼称を用いていない。EUとイギリス政府は「Russian aggression against Ukraine」と表記。国連の第11回緊急特別総会では「Russian Federation’s Invasion of Ukraine」または「Aggression against Ukraine」と表記された。